アラフォーママの好きなものブログ

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エッセイ感想:町田康の【テースト・オブ・苦虫】

愛おしいおっさんの本

 

私の好きな作家の一人、町田康さん。
町田康の作品には、「しょうもないおっさん」が

よく出てきます。

 

作品のほとんどにしょうもないおっさんが登場します。

そのおっさん達の訳のわからなさ、

うだつの上がらなさ、なんとも言えない

奇妙さが、作品を読み進めていくうちに

何故だかとても愛おしく思えてきて、

物語の最後には、おっさんとの別れが

近づいている…なんて考え、寂しく感じたりもします。

そんな、しょうもないおっさんを書かせたら

右に出る者は居ない町田康の【テースト・オブ・苦虫】。


町田康のエッセイです。

 

このシリーズの主役は架空のしょうもないおっさんではなく、町田康というおっさんです。

才能もセンスも兼ね備えている上に、実は顔まで男前、美声の持ち主でもある町田康


しかしエッセイの中に居る町田康は、やはり彼の頭の中に居る架空の人々と同じような、しょうもないおっさん。

格好いいのに格好つけない。

 

むしろ、格好悪いところばかりを書き連ね、

町田康イコール格好悪い、なんて印象さえ

植えつけてくるような本です。


しかしそこが彼の最大の魅力、私が彼を

好きな理由でもあります。


格好悪いところが格好いい。

しょうもないおっさんなのに格好いい。

こんなに格好いい、しょうもないおっさん。

 

なかなか居ません。


渋さもダンディさも特に感じられないのに…

不思議な魅力でいっぱいです。