読書感想:川口俊和著「コーヒーが冷めないうちに」
自分の家族・大切な人をもっと好きになる本
川口俊和著「コーヒーが冷めないうちに」
私が今まで読んだ中で大好きな本の一冊、川口俊和著「コーヒーが冷めないうちに」です。好きな理由は大好きなコーヒーがキーワードになっている小説というだけでなく、身近な人の大切さが身に染みて感じる本だからです。
今まで当然のように傍にいた人が、突然いなくなったらどうしますか?突然死んでしまったらどういう気持ちになりますか?とずっと自分に問いかけるストーリーでした。
読んでいて難しいと感じる場面はなく、場面が想像しやすく感情移入できる点も気に入っています。
涙が止まらなくなる場面が数か所あり、その度に本を閉じ、思いっきり泣くことができました。
中でも姉妹のお互いの気持ちを伝えられず、妹が事故で死んでしまった場面は、自分と姉に置き換え、感情移入してしまいました。
今もその場面を思い出すと涙がこぼれます。姉妹って、こんなもんだよね、と思いつつ、もっと優しく接していきたいという気持ちにさせられました。
想っていても口に出して伝えなければ、きっと数年先も後悔が残る。
そんな状況を回避するために、この本の中では淹れたてのコーヒーでタイムスリップします。
現実にはそんなことは絶対にありませんが、この現実の世界のどこかで、この喫茶店は実在しているかもしれないと思わせる、不思議な本でした。
私にとってこの本は、ファンタジー以上の存在です。