アラフォーママの好きなものブログ

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吉田篤弘著「それからはスープのことばかり考えて暮らした」

それからはスープのことばかり考えて暮らした

 

私が好きな本のひつつ、吉田篤弘

「それからはスープのことばかり考えて暮らした」

という小説で、中公文庫から出ています。


好きな理由としては、悪い人が誰も

出てこない、ただただ、上質の映画を

見ているような心地よさが最初から

最後まで漂っているからです。


求職中の青年が出会った

サンドイッチ屋さんの親子、

青年の住まうアパートの大屋さん、

憧れの女優さん、そしてその孫、

出てくる人出てくる人がみな優しく、

このような街で暮らしてみたい、

と思う話になっています。


青年がサンドイッチ屋さんに就職し、

美味しいスープの作り方を一生懸命考え、

それをあこがれの女優さんが手助けしてくれる。


読む人によっては、

「何も事件らしい事件が起きないじゃないか」

と言われるかもしれませんが、

 

このゆったりした感じが、

何とも言えず、いいなあ、と思うのです。


出てくる食べ物も、本当に

おいしそうで、サンドイッチや

夜泣きそば、そして題名でもあるスープ。

 

それをきちんと食べているのだなあと

感じさせられる文章がまた素敵なのです。


少年が二人出てくるのですが、

今時こんな子いないよ、という

くらい折り目正しく。

 

それがなんとなくノスタルジーを

感じさせるのかもしれません。


暖かい飲み物を飲みながら読みたい、

静謐な時間を過ごさしてくれる物語です。