西尾維新による戯言シリーズについて思うこと
この本が好きな理由は、言葉遊びの激しさです。
ところどころに散りばめられた、という程度ではありません。
1冊最初から最後まですべての文章が言葉遊びの反中なのです。
キャラクターのセリフも地の分も名前すらも、ただの文ではないのです。
特に主人公の本名が最後まで登場せず、結局わからないというのが秀逸でした。
主人公の本名を知らなくとも話が進んでしまうのですから、名前の重要性というものが分からなくなってしまいます。
言葉遊びのせいか、とても読みやすい文章になっており、ライトノベルという扱いも間違っているとは言えない作品です。
ルビの使い方も秀逸で、全く想像していないような読み方をさせられます。翻訳するにはかなり苦労するような、日本文学の文化を徹底利用した作品です。
少々グロテスクな場面や、狂ったように叫び続ける場面もあり、若い世代が好む作品ともいえるかもしれません。
分厚い見た目とは裏腹に次々と読まされてしまうので、中学生でも読みやすい作品でしょう。文庫本にリメイクされているので、持ち運びしやすくなりました。
西尾維新の言葉遊びの始まりともいえる戯言シリーズは、読書が苦手な人に読んでほしい作品です。